ここ一週間程、宿で知り合った20代前半の青年と行動を共にしている。
宿で知り合い、若いのに気が利くし礼儀正しく酒も強い。とても好青年ですぐに意気投合した。
そんな彼も、明日からパラワン島へ旅立ち、また別々の旅路へと着くことに。
楽しい出会いと寂しさ滲む別れ。旅の醍醐味である。
今日一日でスラムから天国、そして地獄を経験したその青年の話をさせていただく。
まずは二人で過ごす時間も最終日となり、昼間のコロン地区に出かけることとした。
コロンストリート散策と孵化寸前のゆで卵「バロット」に挑戦
セブ最古のストリートとして、現在もローカルで賑わうエリア。マーケットや市場などがあり、様々な商店や屋台が軒を連ねる。
日中はとても活気のある雰囲気で治安の悪さなどは感じなかった。しかし欧米人観光客はほとんど見かけませんでした。
何も考えずにフラフラと散策。
カツオのサクなど路上で捌いているのが見ているだけでも面白い。(捌き方雑・・)
ふと見かけたゆで卵屋台に学生が群がっていた。
皆10ペソの(約20円)ゆで卵を剥いては塩をかけて一心不乱に食べている。
20ペソの(約40円)青っぽい卵を青年が注文して剥いてみると・・かの有名なバロットだった。
バロットまたはバロッ(タガログ語: balut)とは、孵化直前のアヒルの卵を加熱したゆで卵である。フィリピン以外にも中国本土南部から東南アジアの広い地域で食され、ベトナムではチュヴィロン (ベトナム語: trứng vịt lộn/孵) またはホヴィロン (hột vịt lộn/核孵) 、カンボジアではポンティアコーン(クメール語: ពងទាកូន)、中国では毛蛋 (拼音: máodàn, マオタン) 、死胎蛋 (拼音: sǐtāidàn, スータイタン)、鴨仔蛋(広東語 aap2zai2daan2, アープザイダーン)などと呼ばれる。Wikipeより
彼は見た目だけでアウトとのことなので代わりに頂きました。
白い部分は「固く弾力のある白身」その他の部分は「普通の黄身」でしたね。特に孵化寸前の卵を茹でる意味は分かりません。
滋養強壮に良いとか?多分関係ないと思う。
食っといて言うのもなんだけどちょっと悪趣味な感じ。
夕方のスラム街からの脱出
テクテクと進んでいくと、だんだん怪しげな雰囲気に。
街の匂いと言うか風景が「いかにもスラム」って感じに変わってきた。
多分コロンストリートから東の川沿いを海に向かって歩いていたと思う。先は行き止まり。肌感で「この先に進むのはやめよう」と内なる声に従う。
気にしすぎかもしれないけどスマホで写真撮るのも不味そうな感じだったので、いそいそと撤退。
それからGrabタクシーで戻ろうとアプリでマッチングを試みるも、夕方のラッシュと重なり一向に捕まらない。
流しのタクシーも全然止まってくれない。
ジプニーで帰ろうにもすべての荷台が満員ばかり。
治安の悪いと言われる地域で、どんどん日だけが暮れていく。公共交通機関が使えないのでその場で途方に暮れる。
結構しんどかった。
それでも、じっとしていても始まらないと思い。出来るだけジプニーが拾いやすい大通りまでひたすら歩くことに。
その後、なんとか荷台の後ろに立ってしがみついて乗車。
それからも、マンゴーストリートでしつこいキャッチに付きまとわれたり、歩けど歩けど目当ての店に辿り着かなかったりで二人とも疲労困憊。
そして、ある結論に辿り着く。
「やはり、日系KTVだ」と。
実はマラパスクアへ旅立つ前日にセブでは一番と名高い日系KTV「小町」を二人で訪れていた。
なんと、彼は「キャバクラ」自体が人生初めてとの事。
こちらは、元水商売。手取り足取り若者にキャバクラの楽しみ方を伝授した次第。
翌日の彼の言葉は「なんで、あんなに楽しいんですかね?」と。
日系KTV「小町」「HAISAI」を梯子
マンゴーストリートからタクシーを捕まえて「小町」へ。
OPENから20時までは400ペソ/1h(約900円)で飲み放題。指名料込み。
店内は高級感があり、キャストもまずまず。
なんと、お客さんのテキーラは無料っていう一気飲みパーティー上等仕様。
一日マラバスクアからの移動とコロンストリート探索で疲れ切った体にキャバクラ。1時間で帰宅を申し出ると、そこは若者。
そしてキャバクラの喜びを知ってしまったばかり。
「もう一軒行きましょう」と。
日酔ってはいられない、子供みたいな歳の子にまだまだ飲み歩きでは負けられない。
当然ながら2軒目「HAISAI」を出た頃にはお互いしっかり「できあがり」
締めのラーメンを熱望していた彼だったが、制止してタクシーに乗せ部屋へ帰った。
夜のセブ島で身ぐるみ全て剥がされた青年
その夜は「酔っぱらってのこの辺りをフラフラするのは危険だから今日は寝るように」と指示した。
疲れと酔いで瞬間で深い眠りに落ちる。
・・・次に起きたのは何度も強くドアをノックする音。
何かと扉を開けると憔悴しきった彼がホテルのスタッフに連れられて部屋へ戻ってきた。
夜中の3時位だろうか?
話を聞くと、自分が眠った後一人で夜の街へ繰り出したらしい。
何処で何をしたか全く覚えてないらしいのだが気が付いたら、タクシーに乗って3人の美女に取り囲まれていたらしい。
何故そこにいるのかも分からないので、当然どこへ向かっているのかも分からない。
怖くなってタクシーを降りてからバックの中のがすべてなくなっていることに気が付いたそう。
財布・iPhone一式なかったとのこと。(幸いにパスポートとカードは部屋に残しておいたみたい)
逆に夜中のセブの街外れで財布もスマホも無くてホテルまで良く戻ってきたもんだ。
とりあえず身体が無事だっただけでも一安心。飲み過ぎて記憶が無いのか、どこかで薬でも盛られたのかは不明です。
見る限り酒は強いほうなので全く一切の記憶が無いとなると昏睡強盗を疑うけど、後の祭り。
本人は今後も世界一周旅を継続するそうで、おそらくいい勉強になったと思いますが、(今後南米などにも行く予定らしいので)
やはりここはフィリピンであることを忘れないようにしようと自分にも言い聞かせるいい機会になりました。
まとめ
若者にKTV飲み放題の楽しさを教えてしまったおっさんも多少責任を感じてます。
実際にこんなに身近な人間が被害に遭ったのも稀な経験。
正直「危ないところには近づかない」とか「夜中の一人歩きはしない」とか大切な心構えは必要なんだろうけど、店で飲み物に薬とか入れられたらどうしようもない。
そして、スマホを持たぬままエルニドに旅立った彼の今後の無事を祈らずにはいられない。
「人生はこれからだ!くじけず頑張れ!」なんて心配不要。
身ぐるみはがされた直後に一人で焼肉を食べに行ってました。(最近の若者?たくましすぎる)
そして、別れ際にこう最後の言葉を残してセブを後にした。
「また、行きましょう!小町」
・・・色々勝てる気がしねぇ