海外から帰国して、少しの間は「和食」や「スーパー銭湯」「100円寿司」をはじめ日本ならではを楽しむことができる。
しかし、数週間~1ヶ月と経つにつれて「飽き」というか「マンネリ」感が顔を出し始める。
次の出国はまだ先なので、国内旅行でもと考えた。まだ一度も行ったことのない観光地など、日本中にも山ほどある。
しかし、昨今のインバウンド景気でどこの宿も強気の値段。交通費もそれなりだ。
そこで、ふと思いついた。
日雇い労働者で有名な「釜ヶ崎」そう西成あいりん地区に行ったことがない。
あいりん地区(あいりんちく)は、大阪府大阪市西成区の北部、西日本旅客鉄道(JR西日本)・新今宮駅の南側に位置する簡易宿所・寄せ場が集中する地区の愛称である。愛隣地区とも表記され、旧来からの地名である釜ヶ崎とも呼ばれる。宿泊料金が安いため、近年はバックパッカーの宿泊地としても人気を集めている。Wikipediaより
子供の頃、労働者が火炎瓶を片手に西成警察署を襲った暴動をテレビで観た記憶がある。地元大阪市民もめったに近づかないと言われる地域だったが最近は徐々に治安も良くなりつつあり、駅周辺には新築のホテルやショッピングモールの建設なども進んでいるとの事。
であれば、今のうちに行っておかないと想像する雰囲気を体験できる機会もなくなるかも。
ドヤ街といえば、東京の清川に友人が住んでいた。いわゆる「山谷」エリア。
有名な「吉原」などもこのエリア。上京したての頃、何も知らずに自転車で友人宅へ向かう際中に一人の中年男性が道の真ん中で倒れていた。「大丈夫ですか?」と声を掛けたら、ただ酔っぱらって寝ているだけだった。午前中にだ。
そこから、数百メートル漕ぎ進むと、公園に数十人程のホームレスたちがそこかしこに屯していた思い出がある。
街中に広がる「アンモニア臭」。最初は驚いたが、すぐに慣れてよく周辺の大衆食堂などでその友人と「もつ煮」をつまみに飲んだもの。その友人は当時、東京のど真ん中の交差点で酔うと立小便をしていた。
驚いて注意すると「昔から地元では当たり前」とうそぶいていた。
20代前半の頃の話。
なので、ドヤ街の耐性はあると自負。
交通費も片道400円位なので、午前中から出かけてみた。
面白かったら泊まってみても良いかと、一泊1000円前後から宿泊施設は揃っている。
まずは「あいりん地区」から
スラム街と言っても、当然ここは日本。本場のそれに比べれば治安など比べ物にならないと思う。
ブラジルのファベーラやインドのダーラヴィーなど、フィリピンあたりだとスモーキーマウンテンのドント地区が有名(ゴミ山は撤去って聞いたけど)
そこら辺も自分の目で確かめてみたい。
JR大阪環状線の新今宮の西口を出て南へ向かう。
早速、日雇い労働者が集う有名な「あいりん労働公共職業安定所」との看板が。
ここは「ハローワーク」とは言わないのかな?どこも職安が正式名称なのかも。
思っていたほど、街の「悪臭」は気にならない。ちらほらとホームレスの姿が見えてきた。
※色んな事情でホームレスになった方が多いのだろうと推測して人や特定場所の写真は控えました。
生活保護の支援って看板がそこら中にありました。
無料休憩所とあったが、まだ駅を降りて10分も経ってなかったので少しビビって中へは入れなかった。
思ったほど「想像した治安の悪さ」みたいなのは感じなかった。(午前中だからかな?)
ただ、ワンカップやビールで宴会してる人や、自販機の前で一気に飲み干している方々は多かったです。
驚愕の自販機価格
当ブログでは物価の安さを追求するっていう副題も使命としている。
これは、今までで断トツ一番かと思うあいりん地区の自販機がこれ。
セーフガードっていうスポーツドリンク?がなんと
30円!
その他ドリンクも50円~と激安。貧困エリアの人の命を守るために市から補助金とがが出てるのかな?
どうなんだろう。
あいりん地区と呼ばれているエリアはそれほど広くない。新今宮駅から南側の一角。歩いてもざっと見て回れる。
確かに浮浪者は多かったけど、拍子抜けするくらい普通でしたね。麻薬の売人らしき人やラリったお兄さんが奇声を発してるってのは無かったです。(酔っぱらったお父さんは得体の知れない言語で独り言を発してたけど)
表題で「スラム街」と書いたけど、訂正する。全然スラム街ではない。
路肩で酒を煽っている一人のおじさんに話を聞いてみた。
日雇いが一日8000円位で、そのお金で酒とタバコ。そして飯を買う。
無くなったら、また日雇いに行くという。そして話し終わるとタバコを要求された。
(おじさんの話が半分くらいしか聞き取れなかった。英語どころか日本語もまだまだである)
飲み屋街が面白そうだったので次は夜に訪問してみたい。(飲み屋の値段は特別安くない。だから自販機に集まるんだろう。ワンカップ110円とか)
遊郭街「飛田新地」へ
あいりん地区から歩いても10分位で飛田新地へ。
道中の商店街はまさに「昭和」の名残そのままという趣。
路地裏から城東のテルがボンタン狩りに来そうな雰囲気。
「映画面白かったぁ?」「集金だよ、こいつらのな~」的な。
ノスタルジックの極み。嫌いじゃない。
何も考えず思い付きでやってきたので、まだ店も開いてない。もう少し遅い時間に来ればよかったと後悔。
ここも完全に夜に来た方が雰囲気は良いと思う。
飛田遊郭の北門には史跡の解説のような看板も。(概ね観光地なのかな)
後ほど時間をずらして再度訪問したら数件の店が開いていた。
写真にもあるようにこのエリアの「ちょんの間」はすべて「料亭」扱い。
よく言われる、1階で出会って2階で恋愛関係になるってシステムですね。料亭だから飯も食えんのかな?
ソープなんかは登録上特殊浴場(サウナとか)って形態を表向きはとっているのと同じ。
興味のある方は料金とかシステムとかグーグルなどで個別で調べてください。(まぁクソ高いです)
実際に自分が見た限りでは、料亭で出会える一時的な恋人候補は皆レベル高かったです。(モデル系よりもアイドル系が多かった。時代なのかな)
とにかく、街の雰囲気は抜群です。日本でも古の遊郭の風景を残している唯一の場所かも。
吉原なんかは普通のソープ街ですしね。
観光で訪れても十分満足できる雰囲気のある街並みでした。
何度も言うけど、行くなら日が暮れてから。午前中は何にもありません。
「新世界」「通天閣」串カツストリート
最後に向かったのが新世界エリア。
雰囲気的には「じゃりン子チエ」とか「NHK朝ドラのふたりっ子」を想像するが、今や一大観光名所である。
汚い感じや昭和感はない。あるとしてもそれは観光客の為に作られた昭和感である。(路地裏は別ですが)
周辺の面白風景
それでも、なんとか面白風景を探して散策したので、いくつかご紹介。
今の時代にテレホンカード。(令和でも使えますって・・)
携帯を持てない人用かな?
ふたりっ子でお馴染み「将棋倶楽部」東京ではこんな雰囲気でないですね。
観光客用の射的場だろうけど、地元のおじさん風な方たちで賑わっていた。童心に帰るってこのことですね。
TVゲーム50円。ニュースター。昭和過ぎる。でも自分の子供の頃は100円で3回ってゲーセンもあったけど。
西成いちばーん。
はい一番だと思います。
串カツだるま。有名店で行列ができていた。
昔、ここで働いていた知り合いが東京で独立して本家と商標で揉めてたけど、その後どうなったのなと思い出した。
おそらく外国人からみたらとても楽しい街なはず。自分には綺麗すぎてイマイチだったかな。
昔はここら辺も結構殺伐としてたんだけどね。
番外編「スーパー玉出」
半日周辺を散策しただけでおよそ6件の「玉出」を発見した。
大阪を中心としたディスカウントチェーン店。
実際に入って見たけど
弁当が300円位から。総菜も100円から。
・・・東南アジアのローカル物価に慣れてしまっているので特に驚きはない。
日本の他のディスカウント価格と比べても思ったほど安くないよね?
場所柄的に100円弁当とか期待してたのに。残念。
まとめ
世界には色んな場所がある。
それを探訪するのも当然面白い。しかし、日本にもまだまだ興味深い歴史や文化を色濃く残すエリアが多数存在することを再確認させてくれた大阪が誇る「ドヤ街」探索。
個人的には働く意思のある日雇い労働者の環境は改善されることを願っているけど、こと「飛田新地」に関しては、日本の文化遺産として現状の趣を未来に残してほしいと思うくらい素敵な雰囲気でした。(素敵ってよりなんかカッコいい)
その昔「大阪花の博覧会」を誘致した際、大阪からいわゆる「ソープランド」が消えた。(別に困らないけど)
次の大阪万博で「飛田新地」が消えた。となると淋しい感じがする。
沖縄にも真栄原というエリアに「ちょんの間」が存在したが、沖縄サミットなどを機に壊滅してしまった。
料亭と言う名の売春施設なので、色々と難しいとは思うけどね。
無くなってしまう前に是非訪れてほしい場所でした。(あいりん地区には特に行かなくても良いと思うけど)